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サーフズ・アップ

朝目が覚めると外は曇天で、ちょっと肌寒いけれど気持ちのいい冬の寒さだった。空気はからりと張りつめて、いつのまにかすっかり冬の陽気になっている。事務所の辺りは、いつも週末はそうであるようにしんと静まりかえっていて、物音一つ聞こえない。時計に目をやると十時を回ったところで、大きく伸びをしてからベッドを抜け出してユニクロのフリースを羽織る。それから机に向かって、ぼんやりと絵を描きはじめる。とは云っても、これはそんなに急ぎの絵ってわけじゃない。先週まで根を詰めていた大きな絵は、数日前に全部ギャラリーに引き渡した。どうだろう。たぶん、わりとよく描けたんじゃないかと思う。結局のところ、選んだことが正解なのだ。しかしそれを飲み下すまでに、いつもとても苦労する。
 先週は消え去った十月を取り戻すかのように、連日お酒を飲んでいた。何曜日のことだったか、集合場所に向かう電車の中で女子高生を見た。時間は夕暮れで、学校帰りだろうか、その女の子はドア横にもたれかかってぼんやりと外を眺めながら、右手を肩から提げた学校カバンの中に入れると、徐にすうと一本、ポッキーを取り出して、そのまま小さく口に入れた。その光景を見て、なんだかやっと地上に帰ってきたと思ったんだった。今日は一日特に予定もない。誰に会うこともない。たぶん部屋から一歩も出ることなく過ごすだろう。少し肌寒く感じて、ストーブを付ける。昨日買ってきたCDを掛けながら、台所でうどんを作る。具は葱と油揚げと豚バラと溶き卵。食べ終わって、また絵に戻る。適当に切り上げたら、読みかけの本を読もう。眠くなったら、さっさと寐てしまおう。こんなふうになんの後ろめたさもなく怠惰に過ごせるのは、きっとちょっとの間だけのことだろうから。

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