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砂漠

ごぶさた。

僕の名字は漢字で書くと今巷を騒がせているあの人と同じなのだけれど、生まれてからこの方、これほど自分の名字が活字になって世の中に溢れているのを見たことがない。新聞、テレビ、電車の中吊りにインターネット、何を見ても僕の名字が書いてある。それは自分でも意外なほどに新鮮かつ衝撃的な光景で、珍しい名字だから何代か溯ればもしかしたら薄い血の繋がりくらいはあるかもしれない自分も、泥酔したらそれくらいのことはしかねないのだろうかとビール片手に訝りながら、しかしながら、確かに酒に溺れて全裸で叫びたくなるようなこの世の中ではある。

 個展に向けての絵は遅々として進まず、ただだらだらと部屋に籠もって机の前に齧り付くだけの日々。ちょっと上手く事が進みそうになると欲が出て忽ち筆が鈍り、そこを無理にと思い切れば、いとも容易く粗相する。そのただ繰り返し。どこにもいかない。本日も労多くして糧少なし。そうして同じ音楽ばかりを繰り返し聴いている。また一歩も外に出なかった。

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